ダンボールの職人が集まってニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットを検証した結果が凄かった。

いつも当blogのニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットの購入レビューをご覧頂き誠にありがとうございます。

今日はいつもの子供向けの購入レビューとは異なり、5月23日、クラフトマンエッセンス、代表 小寺 誠により密かに集められたダンボールのプロが検証したニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキット勉強会の様子をお届けします。

内容は濃密ですが、技術よりな部分がかなりのウェイトを占めるので、技術的な部分、匠のこだわりを知りたい人以外はあまり楽しめないかもしれません(笑)

逆にニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットの技術的なこだわり、子供に対する優しさや設計力の凄さを感じてみたい!

という人はご覧になってください。きっと楽しめる内容になっていると思います。

さくっと目次

ニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキット勉強会とは?

5月23日、クラフトマンエッセンスの呼びかけにより開催が決定したニンテンドーラボ(Nintendo Labo)の勉強会です。

開催の意図としては、

  1. 本業のパッケージ設計に生かせる技が随所にみられたため
  2. 動画を用いた説明の仕方が大変勉強になったため
  3. ダンボールのプロが集まって話合いをすると、どんな発見に繋がるか興味深かったため

という思いから開催を決定しました。

※開催を決定したのはクラフトマンエッセンスの小寺です。

苦情・クレームなどは全てクラフトマンエッセンスの小寺までお願いします。

今回集まって頂いたのは、

株式会社ペーパーワールド
http://paperworld.jp/

矢野紙器株式会社
http://www.yanosiki.com/

芳川紙業株式会社
http://www.e-yoshikawa.co.jp/

イメージマーケット
http://www.kaburimono.com/im.html

それぞれクラフトマンエッセンス代表、小寺が信頼を寄せる(たまに無理難題をお願いしている)ダンボールに関わる国内最高峰の技術を持つ企業(注1)の、設計担当の皆様です。

また、当日のご意見等も聞きたかったので、

日報ビジネス株式会社
https://www.nippo.co.jp/

の編集担当の方にも取材として来て頂きました

(注1)ダンボール箱というよりも、ダンボールクラフト商品作りや大型のディスプレイ商品・遊具商品作りの企業です。

当日は約2時間という枠の中での開催でしたので、クラフトマンエッセンス小寺が事前に子供と組み立てて特に関心した釣りトイコンを題材として勉強会を開催しました。

ニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットの釣りトイコンとは?

ここでニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットの釣りトイコンについて簡単に説明していきます。

釣りトイコンはニンテンドーラボバラエティキットの一つで、ダンボールキットにジョイコンをセットすることで魚釣りを楽しめる工作キットになっています。

詳しくはこんな感じです。

参照元:https://www.nintendo.co.jp/labo/play/fishing.html 

ちなみに子供が遊ぶとこんな感じになります。

この釣りトイコンですが、構造が驚きの連続で、特にリールと竿の連動や巻き取り時の工夫、ジョイコンの機能を上手く活用している点などに大いに惹かれました。

ニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキット勉強会当日の様子

5月23日に開催されたニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットの勉強会ですが、15分ほどの前置きや開催前の名刺交換などを終えた後は、大人10人ほどで議論しながら約1時間半、ひたすら組立と議論を行いました。

主催者として司会・進行ばかりしていたので、当日の様子を収めた写真はほどんどありませんが、イメージマーケット様より写真をいくつか頂けましたので、こちらにちょこっと掲載しておきます。

その組立中の会話の中で、この会に集まったプロ中のプロが注目したポイントをいくつかご紹介していきます。

ダンボールのプロが見た、ニンテンドーラボ(Nintendo Labo)バラエティキットの注目ポイント

今回の議論の中で話題になったのは下記のようなポイントです。

  • 折り曲げ用の折り線がとても細い
  • パーツが斜めに配置されている
  • リールを巻くと音が出る
  • 差し込んだ後で抜けにくくする為に、ツメが大きめに作られている

これらのポイントは参加者全員で会話していく中で注目度が高かったポイントです。

ではどのような部分がポイント高かったのかを、他のキットの写真や僕が子供と作った時の写真なども使いながら説明していきます。

(当日の写真が致命的に無くて申し訳ないです)

折り曲げ用の折り線がとても細い

これは、今回一番勉強になったポイントがこの折り曲げ用の折り線が細いという部分。

従来のダンボールに使われる折り曲げ用の線を付ける木型の刃よりも、鋭角な刃が使われていたのです。

これに気づいて指摘して頂いたのは、元ダンボールの木型屋さんで木型の設計に携わり、現在ダンボールの設計にも関わっている設計担当の方。

本来のダンボール用の木型の刃でなく、紙やPET素材のケースを作る時などに使われる刃を使用したのでは?

とお話頂きました。

何の話か分かりにくいと思いますので、こちらに写真を掲載します。

まず、これが従来のダンボールの折り線です。普通のダンボール木型では、こんな感じの折り曲げ線が入ります。

ダンボールの罫線って普通はちょっと広いんですよね。ご自宅にあるダンボール箱とか見て貰えると分かりやすいです。

では、ニンテンドーラボの各パーツの折り線はどうでしょうか?

こんな感じになっています。

角罫線って呼び方は僕が若干聞き間違えてるような気もしますが、写真のように折り曲げ線がとても細かったんです。

で、ここから会話の中で出た推測は

  • 木型作成費の低減
  • 確実に狙った部分で折り曲げられるようにするためにしたのでは?

という事でした。

もうちょっと詳細に話すと、今回のニンテンドーラボは正直な話型代がとても高額な印象を受けいました。

でも、この刃を使って面切り(業界用語なので割愛)を省略することでコストダウンをしているのでは?

との推測が出来ました。

あと、鋭角な折り線だと、狙った場所で綺麗に折れるのでは?と言われて、なるほどと納得しました。

この次の話に出てくる斜め配置も、実はダンボール工作ではとても大事なポイントになってきます。

パーツが斜めに配置されている

従来のダンボール工作、ダンボールのパッケージの制作では、ほぼ全て縦か横の配置になります。

ところがニンテンドーラボは、大きいパーツは別にしてほとんどのパーツが斜めに傾いていました。

ちょうど、下の写真のような感じです。

この斜め配置のメリットは

  • 確実に狙った折り曲げ箇所で折り曲げが出来る
  • 縦横共通に強度を保つことが出来る

という利点が想定されました。

というのも、従来のダンボール工作キットなどでは、ダンボールの目方向(ダンボールのなみなみが見える方向)によっては折り曲げた時にズレが発生することがあります。

これは縦、横に配置する関係上どうしても避けられない問題だったのですが、ニンテンドーラボは、斜めにパーツを置くことで、このズレを克服していたのです。

また、従来のダンボール設計では、ンボールの目方向により縦には強いけど横には弱い!というような状況が普通でしたが、斜めにダンボールの目が走っているため、均一に力が分散されて強度が上がっているのでは?との話も出ました。

業界の人間からすると違和感ありありな設計ですが、子供が長く遊べるように!との思いがあったように感じましたね。

リールを巻くと音が出る

これは組立した後で皆さん共通で関心したのですが、なんとリールを巻くと音が出るんですよね。

ちょうどこんな感じです。

リールを巻く際、小さな突起パーツに中の回転機構が当たる事で音がなっているんですが、これはまさに驚異の発想でした。

うーん、芸が細かい!!!

でもこれのお陰で本物っぽくはなりましたよね。

差し込んだ後で抜けにくくする為に、ツメが大きめに作られている。

話の中で言われてそういえば・・・と感心したのは、ツメと言われる部分のひっかけが大きく作られているという点でした。

ちょうど写真の部分なのですが、普通はここまで大きくしないんですよね。。。

恐らく小さい子供が組み立てても、途中でバラバラにならないように!との思いからされているのでしょうね。

何度も試作・検証を繰り返して作られているんだろうな・・・っと感心しました。

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子供向けの工夫が感じられた箇所

ここから先は、子供向けの配慮が感じられたポイントです。

会話の中でもよく考えられているなーっと僕らダンボール企業側がニンテンドーラボを通して学ばせて頂きました。

学ばせて頂いたポイントは以下の3点です。

  • 動画による説明がわかりやすい
  • 印刷によって必要なパーツと不必要なパーツを見分けやすいようにしている
  • ウェーブ刃を使ってケガをしにくくしている

動画による説明がわかりやすい

この部分はTwitterでも掲載していたのですが、子供が作るにあたってとても配慮を感じ取れました。

中小のダンボール会社がこれと同じものを作れるのか?

と言われると正直かなり苦しい部分もあるのですが、見せ方としては学ぶべきものがありました。

ちなみに動画の様子はニンテンドーラボの公式サイトから見ることが可能です。

https://www.nintendo.co.jp/labo/make/index.html

印刷によって必要なパーツと不必要なパーツを見分けやすいようにしている

ちょっと表現としてわかりにくいと思うので、こちらの写真を参考にして貰えると分かりやすいです。

ニンテンドーラボでは必要の無い箇所は模様が入っています。

これで子供は、「このパーツはいらないものなんだなぁ~っ」と理解出来るようになります。

パーツ数が多いので、どれが必要でどれがいらないのかわかりにくい。

特に中途半端な大きさのパーツではその傾向が出やすいように感じますが、このような加工がされていると、簡単に見分けがつきますね。

ウェーブ刃を使ってケガをしにくくしている

ダンボールは手が切れやすいというイメージがあるかもしれませんが、ある加工をされているとその確率を大きく減らす事が出来るんです。

それがこのウェーブ刃での加工です。

シートが全てウェーブのようにカットされていると、手が切りにくくなります。

ウェーブ刃でカットされると下の写真のようになります。

この加工はコスト的には高くなるのですが、安全性は上がります。

子供が使う工作キットだからこそ、こういった配慮がしっかりされているんですね。

ニンテンドーラボ(Nintendo Labo)勉強会を終えての感想

今回の勉強会の最後に、参加して頂いた皆さんに一言ずつお話して頂きました。

その中で出た感想は、下のようなものでした

・実際に組み立てたことで、ダンボールの工作の面白さとダンボールの可能性を感じることが出来た

・今までの説明書の表現を、ニンテンドーラボのようにもう少し細かく入れてみようと思った

・ダンボールの価格競争とは違う付加価値を上げるやり方が学べた

・若い人がダンボール興味を持ってもらうことで、ダンボールを使った仕事がもっと増えるのではないか?と思った

・設計に取り入れられるようなヒントがあった

・両面テープなどの接着素材を使わずにこれだけのものが出来るのに驚いた。

・専用の部材を1から作り上げて使っているのは賢いと感じた

・妥協せずに仕上げている印象を受けた

・ニンテンドーラボに負けないように、自分たちダンボールに関わる者同士でも連携していかないと感じた

主催した自分としては、最後までどうなるか不安だったのですが、皆さんに満足頂けたことはとても嬉しい結果となりました。

一人では気づかないポイントでも、複数の人が集まる事で気づけた点もありましたので、また面白い商品が出たらこのような会を開催し、多くの参加企業の皆さんと意見を交わしていきたいと感じます。

最後に、このニンテンドーラボは個人の方は勿論なのですが、ダンボール会社こそ1社に1台揃えておくべきものだとお伝えしておきます。

ほんの少しの出費です。

ほんの少しの出費ですので、ぜひダンボールクラフトの最高峰、ニンテンドーラボの世界をご覧になってください。

そして願わくば営業の人や木型メーカーの人、設計担当の人や現場作業員の人などで議論を深めて頂けると嬉しく思います。

ダンボールの新しい可能性を伝えたニンテンドーラボ。

キットを組立てをしていく中で、能力の底上げをして貰えると思いますよ。

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